“魚が売れない、
売れても利益にならない”
コロナ禍の厳しい状況
泉:コロナの初年度は観光業界・飲食業界が全て止まってしまい、魚が卸せない状況です。徐々に営業が再開したけれど、未だに3年前の在庫が捌けていない仲買業者も多いと聞きます。その影響からか浜値が下がって、昨年は例年の1/5まで価格が落ち込むことに。今年に入ってからも浜値が戻らないまま。正直困ってます。
その上、燃料費の高騰も重なり、経費はかさむけれど売れない、やっとの思いで売っても利益が出ない……。厳しい状況に耐えられず、何軒も知り合いの漁師さんが辞めてしまいました。
菊池:私達は水産加工も行なっているのですが、商品の卸先は殆ど知床の宿泊施設や飲食店です。コロナ禍の最初のゴールデンウィークは卸し先が全て休業になり、売上は9割ダウンしました。
3年が経ち、世間の空気は少しずつ元に戻りつつありますが、卸し先の苦しい状況に変わりはありません。むしろ、日に日に悪化しているように感じます。
泉:そんな状況を打破しようとECサイトを立ち上げ、ウトロ漁港の海産物を販売することにしたんです。この機会に地元の飲食店だけでなく、全国のみなさんにウトロ自慢の魚介類を食べてもらいたいです。

▲漁師のみならず、関わるスタッフ、家族、卸先…それぞれが苦境の中に。
泉:最近ようやくコロナの感染者数が少し落ち着き、道民割も始まって活気が戻りつつありました。これから他県や外国人観光客を呼び込もうとした矢先に、観光船の沈没事故が起きてしまったんです。事故後、クルーザーがセットになっているツアーは全てキャンセル。観光客はまた来なくなり、商品も卸せなくなりました。
菊池:知床の本格的な観光シーズンは7〜9月なんです。観光がメインの街なので、今後どれほど事故の影響が出てくるのか不安は感じています。